人が亡くなったことを報せる「死亡通知」(訃報)。これまでは、葬儀の案内と合わせて通知されることが一般的でしたが、最近は家族葬などごく親しい人のみで葬儀をおこなうことが多くなってきましたので、葬儀や四十九日の法要、納骨後に送るケースが増えています。
この記事では、死亡通知はがき(死亡通知状)の概要や送るタイミング、記載する内容と例文を紹介しています。また、死亡通知を出す範囲と注意点もあわせて解説します。
死亡通知はがき(死亡通知状)とは
「死亡通知はがき」「死亡通知状」という言葉はあまり聞いたことがないかもしれません。家族が亡くなって、そのことを葬儀の案内とともに通知する場合は、一刻も早く伝える必要がありますから、メールやFAX、電話、場合によってはLINEなどを使うケースがほとんどでしょう。
一方、葬儀が済んだ後にお知らせする場合は書面で送るのが礼儀にかなっているため、はがきや封書で送ります。
死亡通知はがきを出すのは喪主
死亡通知はがきは通常、喪主の名前を差出人に記載して送付します。
喪中はがきとの違いに注意
死亡通知はがきは喪中はがきとは目的が異なります。死亡通知は、故人の知人や関わりがあった方に対して、故人の死を知らせる文書です。
一方、喪中はがきは、家族が亡くなって喪に服しているため、お祝い事である年賀状が送れない旨を知らせる年賀欠礼の挨拶状です。
ただし、11月〜12月上旬頃に家族が亡くなった場合には、死亡通知を兼ねて喪中はがきを送る場合もあります。
死亡通知を出すタイミング
死亡通知は、葬儀の前の場合に出す場合、後に出す場合があります。
葬儀の前
故人の知人に葬儀に参列してもらいたい場合は、早急に死亡通知を送りましょう。メールやFAXなどでもかまいません。
早く送らなければ葬儀参列の都合がつかないうえ、参列者の人数が確認できません。
参列者の都合もあるため、遅くとも前日には到着するように送付しましょう。
葬儀の後
家族葬など近親者のみで葬儀をおこなう場合、参列者以外には葬儀後に死亡通知を送付しましょう。
いつまでに、という決まりはありませんが、四十九日の法要や納骨など、故人の見送りにひと段落ついたタイミングを目安にしてもよいでしょう。
なお、時期によっては、喪中はがきで年賀欠礼の挨拶とともにお知らせしてもかまいません。
【例文あり】死亡通知はがきに記載する内容と書き方
死亡通知はがきに記載すべき内容と書き方を解説します。
- 故人の名前・死亡日・死亡理由
- お知らせが遅くなったことについてのお詫び
- 葬儀を済ませた報告(葬儀後の通知の場合)
- 故人が生前お世話になったことへの感謝
- 香典を辞退する場合の書き方
- 差出人の情報・故人との続柄
故人の名前・死亡日・死亡理由
死亡通知には、故人の名前と死亡日(死亡年齢)、死亡理由を記載しましょう。
唐突に見えますが、時候の挨拶は省略して構わないとされています。
謹んで皆様にお知らせ申し上げます
喪主(差出人)の続柄と故人の名前、その後に“儀”をつけてください。儀は〜に関わるという意味です。
時刻は必須ではないため、記載しなくてもかまいません。
お知らせが遅くなったことについてのお詫び
葬儀後に死亡通知を送る場合は、連絡が遅れた旨のお詫びを一言書き添えてください。
ご通知が遅れましたことを深くお詫び申し上げます
葬儀を済ませた報告
葬儀後に死亡通知を送る場合は、すでに葬儀が終わっている旨も書き添えてください。
その際、故人の遺言により家族葬で済ませた旨を書き添えると良いでしょう。
故人が生前お世話になったことへの感謝
故人と関わりがあった方へ向けて、遺族として故人がお世話になった旨を代理で伝えます。
香典を辞退する場合の書き方
香典を辞退する場合は、文末にその旨を書き添えておきましょう。その際も、故人の遺志によってお断りしたい旨を記載します。
ご香典 ご供物 ご弔問につきましては固くご辞退申し上げます
差出人の情報・故人との続柄
最後に差出人の情報や故人との続柄も記載しましょう。喪主の立場を明らかにし、誰からの通知かを明確にするためです。
通知を作成した日付と住所、喪主の名前を記載します。
(住所)
○○ ○○
死亡通知の文字色は薄墨がよいとされていますが、黒色でもかまいません。
なお、句読点を使わないように注意しましょう。句読点は“終わり”の意味があり縁起が悪いため、お祝い事・死亡通知などの儀礼的な書面には使いません。
文章が読みづらくなる場合は、例文のように、スペースを空けて読みやすく調整してください。
死亡通知を出すべき相手
死亡通知を出すべき相手とは、故人と関わりがあった方です。
そして、葬儀をおこなう前と後で対象者の範囲は異なります。
- 葬儀前の場合は葬儀に参列してほしい人
- 葬儀後は参列しなかった故人の友人や知人・仕事の関係者
葬儀前の場合は葬儀に来て欲しい人
葬儀前に死亡通知を送付する場合は、葬儀に来てほしい人に通知を送りましょう。それ以外の方には、納骨後などのタイミングで送付してもかまいません。
葬儀への参列を確認するための通知となるため、早めに送付するようにしてください。
ただ、遠方にいて葬儀への参列を求めない場合でも、親族や故人と特に親しかった方にはすぐに報せましょう。
葬儀後の場合は故人の友人や知人・仕事の関係者
家族葬のため葬儀の案内を出さなかったけれど生前お世話になった方−故人の友人・知人、仕事で関わりがあった方、町内の方には、故人が亡くなったことをお知らせしておきましょう。はがきや封書など、書面でお送りするのが丁寧です。
死亡通知を作成する際の注意点とポイント
死亡通知など慶弔関係の文書にはしきたり・マナーが存在します。
葬儀の後に親しい間柄の相手に送る場合はあまり形式にとらわれすぎる必要はないと思いますが、面識のない方、目上の方、仕事関係の方などにも送る場合は、礼儀にかなったものを送るようにしましょう。
- 文面は縦書き、書体は行書、楷書など毛筆書体で
- “逝去”を身内に使わない
- 葬儀前に送付する場合は宗派を記載する
- 死亡通知はがきテンプレートの使用
文面は縦書き、書体は行書・楷書など毛筆書体、句読点はつけない
死亡通知をはがきなど書面で送る場合には、縦書きとし、印刷する場合、書体は行書や楷書など読みやすい毛筆書体を用います。あるいは明朝体でもよいでしょう。
また、儀礼文書では一般的に句読点はつけません。
“逝去”を身内に使わない
死亡通知を送る際に、逝去という言葉を使わないようにしましょう。逝去は目上の人に使う言葉であり、身内には使用しません。
身内の死亡通知を送る際は、逝去ではなく「永眠いたしました」「死去いたしました」「生涯を閉じました」が一般的です。
葬儀前に送付する場合は宗派を記載する
葬儀前に死亡通知を送る場合は、宗派について記載しましょう。宗派によって葬儀のスタイルやマナーが異なるため、あらかじめお知らせしておくと、参列者は対応しやすくなります。
故 ○○ 儀 通夜・葬儀告別式
通夜式 令和○年○月 ○時より
葬儀告別式 令和○年○月 ○時より
場所 ○○斎場
住所 …
電話番号 000-000-0000
死亡通知はがきテンプレートの使用
文面をどうするか迷った場合や早く送りたい場合は死亡通知はがき、訃報のテンプレートを使用する方法もあります。テンプレートにはサンプル文面が載っていますので、必要な個所だけ書き換えるだけで作成できます。
まとめ
人が亡くなったとき、通夜・告別式で故人を見送る−というのが一般的でしたが、コロナ禍を経て、家族葬など身内のみで葬儀を執り行う、というケースが増えてきました。
葬儀に参列しない方に、故人が亡くなったことを知らせる手段として需要が高まりつつある「死亡通知はがき」。
親族や仕事等の関係者、親しい友人などすぐにお知らせする必要がある相手は別として、一般的には、遅くなりすぎず、かつ相手に気遣いをさせないためにも、四十九日の法要(仏式の場合)後、または納骨を済ませた後など、落ち着いた頃合いに送るのがよいでしょう。
文面については、慶弔関係のお知らせですので、基本的には儀礼文書としてしきたりに沿った書き方をするのが望ましいですが、出す相手やタイミングによっては、故人の人柄や思い出について触れるなど、心のこもった文面で送ってもよいと思います。
当サイトでは、「死亡通知はがき」に関する様々なテンプレートや文例をご用意していますので、ご利用ください。
監修:森口 久美子
日本国内トップシェア、プライム上場企業の美容メーカーにて10年勤務。社長秘書、及び営業を任務。
秘書業務の遂行や秘書マニュアル作成のみならず、営業でも店販導入初月売り上げ全国1位の店舗の教育担当をするなど、多岐にわたる業務に従事。